リハビリテーションにおいて、患者さんや利用者さんが何を経験し学習するかによって、中枢神経系の再構築の仕方が変わってくると考えられています。 それはセラピストの学習支援の質によって、彼ら彼女らのその後の生活や人生の質が変化する可能性があるということを意味します。
では、セラピストは患者さんや利用者さんが感じている知覚を探り、より適切な学習課題へと導くためにどのように関わればよいのでしょうか。
私達アレクサンダー教師は、セラピストが自分自身の身体の使い方を洗練させることで、患者さんや利用者さんの知覚経験や学習支援のあり方をより洗練させてゆくことができると考えます。
アレクサンダー・テクニークでは、「自分自身の身体の使い方」を「動きの中で」気づくことを学習します。またアレクサンダー・テクニークは、さまざ まな手技や理論を自身の身体を通して統合的に実践していくことにも有効です。学習や実践の過程で起こることを自分の身体で知っているセラピストだからこ そ、対象者の「新しい動きの学習」としてのリハビリテーションを実現できるのではないでしょうか。
本コースにおいて、セラピストに必要な「臨床場面における自分と自分自身の身体の使い方」を中心に学習していただきます。
【授業内容】
レベル1 アレクサンダー・テクニークの基本原理(3単位)
自分の使い方と、相手に対する注意の向け方をまなぶ
日常の動作や思考のあり方において「自分自身をどのように使っているか」を観察し、認識するところから始めます。
いつもとはちがう選択肢があることに気がつき、意識的に選び動くことを学びます。そのためにまわりの空間、人、モノ、自分自身を同時に知覚するという注意の向け方が必要となります。この注意の質が、アレクサンダー・テクニークを活用する基礎となります。
レベル2 上肢と下肢(3単位)
頭~胴体~足のつながりから動作へ
実際の骨格や筋走行、動きについて理解を深め、「歩く」「座る―立ち上がる」などの協調した動作へ展開します。
身体各部の緊張を手放すことで、わたしたちに本来そなわる調整作用を引き出すことができます。そのことで、自分自身全体と空いて全体の存在と動きを知覚しやすくなり、(相手と一緒に動く)ことを体験しながら、学習を深めます。
レベル3 各部のつながり(3単位)
触れることを学ぶ
人に「触れる」基本的な手の使い方を学びます。人に触れる技術の質を高めるためには、セラピスト自身の姿勢が安定し、かつ余計な力みなどの緊張がな い状態が必要です。その上で、触れる相手との距離の取り方、足の使い方などの身のこなし方の学習が大切になります。自分の身体地図と身体感覚を見つめ直 し、人に触れていく練習をします。
レベル4 総まとめ(3単位)
治療の現場でどのように使うか
アクティビティー(日常の現実状況を設定した場)を通して、臨床現場でアレクサンダー・テクニークを生かす可能性を探求します。他の受講生と課題を共有しながら、治療中の自分の心身のあり方、患者さんとの関係性全体の変容をリアルな状況の中で体験します。
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〇対象 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、ケアワーカー、看護師など
〇日時 2017年4月開講~2018年3月修了(月1回・土曜日・10:00~17:00)
2016年 4/8、5/13、6/10、7/8、8/26、9/9、10/7、11/18、12/9
2017年 1/6、2/10、3/10
※11月日程が11日から18日に変更になりました。
〇修了必須単位 全12単位(72時間/1単位=6時間)
〇会場 エル・おおさか
〇講師 新海みどり、中野勉、渡邊康子、高木真人
〇受講料
ベーシック・コース(1年目の方)全12回 20万円
アドバンス・コース(2年目の方)全12回 22万円
(事前のお振込みをお願いいたします。口座番号はお申し込み下さった方にご連絡します。)
≪コース受講者の声≫
・仕事や生活の中で、他人と同じ空間にいるときの関係性が少し変えられたように思う。立っているとき、座っているときの姿勢への意識が変えられたことで、楽になる部分があると思う。
(40代・言語聴覚士)
・痛みなどがあった際に、どうしたら楽になるか考えながら仕事ができるようになった。自分の力みが抜けると相手の力みも抜けやすいことがわかった。
(30代・理学療法士)
・事あるごとに自分の姿勢を見直して、その都度無理な姿勢で余計な緊張を強いていないかと思いだして調整するようになった。
(60代・看護師・大学教員)
・自分の力が入っているときがわかるようになってきたことで、余分な力を抜くことができるようになった。
(30代・理学療法士)
・人や環境のあらゆる刺激に対して、自分自身を小さくして必要以上に緊張させている自分に気づけるようになった。
(30代・理学療法士)
・精神疾患を含め、多様な疾患を重複して持つ利用者と関わるとき、介護するご家族や本人の苦しみに引き込まれず、自分を保ちながら専門職として評価する、見方の質が変わった。
(30代・理学療法士)
・患者さんだけでなく医師や看護師、他のセラピストに対しても自分の考えを伝えることへの抵抗が減った。
(20代・理学療法士)