アレクサンダー・テクニークとは

Art of Life, Art of Communication, Art of Movement.

アレクサンダー・テクニークを学んでみませんか

アレクサンダー・テクニークは手で身体に触れてワークする方法論でありながら、ボディ・ワークではなくpsychosomaticサイコソマティック・ワーク、心身の<学習>であると考えています。心身はひとつ、分けられるものではないという考えは日本の文化の中では受け容れられやすい考えですが、自分の身心をあらためて自分で学ぶという考えは新しいかもしれません。身体と心のつながり、そしてあたまと言葉とのかかわり合いを含めた、自分自身の使い方の学習です。

自分の使い方なんて今更?と思うかもしれません。
アレクサンダー・テクニークの学習の仕方で大切になるのがMappingマッピングです。
「地図と現地はちがう」。わたしたちが自分の身体やその動き方について「こういうものだろう」と持っているイメージや思いこみという<地図>と、実際の身体や動き方という<現地>は同じではありません。古い地図を持って現地に行くと、道に迷ったり、行きたいところへ到着することができなかったりします。
アレクサンダー・テクニークのレッスンでは、教師とともにこの自分自身の地図(マッピング)と現地がどうちがうかを観察し、もう一度地図を新しく描き直す作業が行われます。そしてその新しい地図とともに、あらためて現地を探究します。その結果、身体的に痛みが減ったり動きやすくなったり、また気持ちや感情、言語表現もそれまでの習慣的ないつものあり方から変化していく可能性があります。

1.Art of Life 〜 くらしのなかで使える・使うということ〜

アレクサンダー・テクニークはF.M.アレクサンダー(1869-1955)の発見から始まります。朗唱家であったアレクサンダーは舞台に立つと声が出なくなるということに悩まされ、自分自身の探究を始めました。そしてついに、「声を出そう」と思った瞬間、頭で首を押し下げ、結果、身体全体を押し下げているために、声を出にくくしていたということに気がついたのです。「何かをしよう」と思った瞬間に、首を固くしてするという、そのいつもの習慣的な自分自身の反応パターンをやめてみると、身体全体そして心的にも生き生きとした動きが取り戻されるということを見つけたのでした。彼はその後たくさんの人たちに自分の発見を伝えて教え、100年以上経った今ではアレクサンダー・テクニークは世界中に広がっています。

「アレクサンダー・テクニークをするための、アレクサンダー・テクニークは教えない」。
それはアレクサンダー・アライアンスをつくった Bruce Fertman ブルース・ファートマンが学んだ、マージョリー・バーストウMarjory Barstaw(F.M.アレクサンダーから直接学んだ第一世代のひとり。)の姿勢でした。
マージはその人が自分自身でダンスや音楽といった<何か>をするためにアレクサンダー・テクニークを学びたいと言って来たときだけ、一緒に学ぶことを許したそうです。
ダンスをする、楽器を弾く、歌う、農作業をする、お料理する…といった生活や仕事の中のさまざまなActivity(身体の所作)をより楽で心地の良いものにするために使うのがアレクサンダー・テクニークであると考えていたのです。この発想はブルースを始め、アライアンスの教師たちにも受け継がれています。

アライアンス京都校、大阪校、岡山校でもこの考え方は日常的に取り入れられています。例えば「職場でミスを重ねてしまう」「理学療法するときの、この動作が難しい」「家族にシンプルに言いたいことを伝えられない」「掃除が手早くできるようになりたい」など、それぞれの人の日常にとって、改善してみたいこと、うまくできるようになりたいこと、他の選択肢を考えてみたいことがテーマになります。
テーマごとに、実際の状況に応じた場面をつくり、そのなかでリアルに身心ともに新しい経験をしてみることで、課題の解決方法を学ぶことができます。

また、コミュニケーションの課題など心の要素が大きく関わりそうなテーマであっても、「身体からちょっと変わってみたら、気持ちのほうも変わっていきませんか」と提案できることがアレクサンダー・テクニークの、ユニークなところです。レッスンの場で新しい経験をして、日常生活や職場に還って実験してみる。どんなことが起こるかためしてみる。
その準備をたっぷりと、正しいか正しくないか、良いか悪いかといった二項対立やJudgeを超えたところ、安全な場で練習できる、実験してみることができる場所としてのアライアンスでありたいと願っています。

2. Art of Communication 〜ことばの使い方〜

わたしたちのコミュニケーションは、ことばによる表現と、仕草や表情、全体の雰囲気や印象といったことばではない身体表現からなっています。アレクサンダー・テクニークによって身体全体に動きが起こっていくと、表現全体にも変化が起こります。

からだとこころとが関係し合う中には、ことばの要素も大きくかかわっています。
アレクサンダー・アライアンス・ジャパンの新海みどりのレッスンでは、ことばの要素にも注目し、あらためて学習します。
ことばは方向性であり、動きです。自分の身体について学ぶ場において、どのようなことばが使われるかは、実はとても重要なことです。
ことばは、わたしたちの身心の緊張の度合いや、行動の方向性におおきな影響を与えます。(例えば強い語調で否定されたら途端に萎縮するか対抗するかするでしょう。)
しかし、普段は意識しない事実なので、改めてことばの働きに取り組もうという意図がなければ、習慣的な言葉づかいの影響を受け続けます。

またレッスンの中でのフィードバックの扱い方も大切に考えています。
レッスンの中で、学ぶ人自身が感じ、思った気持ちは、その人が言語化して表現したことば(フィードバック)によって、教師やグループの他のメンバーは初めて知ることができます。またその人自身にとっても、レッスンという場に表出することで、自身の感情や思考を受け容れることへとつながります。
だからこそ、フィードバックを真摯に聞き、そこから次の展開へとつなぐことがレッスンの大切なベースとなるのです。そしてそれは、日常のコミュニケーションのあり方のベースを考えることにもつながっていきます。

だからこそ、アレクサンダー・テクニーク教師を始め、人と関わって仕事をしたり生活する人は、自分自身のことばの使い方についても、気づき再び自ら学ぶ必要があると、わたしたちの学校は考えています。

3.Art of Movement 〜 姿の勢い 〜

わたしたちも脊椎動物です。頭があり、背骨があり、動いて生活しています。ブレーキとアクセルを使いこなして…でも時に、動きが鈍くなったり、あるいは速く動きすぎたり、さまざまなことが起こります。

アレクサンダー・テクニークで学ぶことは、自分をコントロールする方法というよりは、さまざまな動き続ける世界の中で、自分自身でありつづける、自分自身全体で動きつづける方法と言えるかもしれません。

身体全体の動き、わたし自身全体の動きを、抽象的な理念としてではなく、具体的な事実として経験しつづける教育です。

「姿の勢い」は、「正しい姿勢」や「良い姿勢」を指すものではありません。わたしたちの学校は、アレクサンダー・テクニークを通して、自身の姿に勢いが生まれること、そしてその人がしたいことを実現できるように動いていける身心のあり方や身体感覚を、自分自身で選んでいくことができるようになる学習の場を、ひらきつづけたいと願っています。